2012年6月22日金曜日

イタリア旅行報告(3)

3.移動


このエントリでは、移動系全般について、書き残したいと思う。

飛行機


前のエントリにも書いた通り、飛行機は、KLMオランダ航空を利用した。KLMの好印象だったのは以下の点。

  • 乳児にミッフィーのスタイ(よだれかけ)をくれる。
  • 日本人客室乗務員の方がとてもフレンドリーかつ親切。
  • ハイネケン(ビール。念のため)の缶が細くてキュート。どうでもいいけど。
  • 機内インテリアやシーツが濃いブルーで、落ち着く。
  • アムス→ヴェネツィアで、ベビーシート(持参したコンビのドゥキッズ)装着のために空席をひとつタダで確保してくれた。

イマイチだった点は、眠っておいたほうがよいと思われる時間帯に窓を閉めない(あるいは、客に閉めるように指示しない)こと。それだけ。

ついでながら、KLMにしたことで帰国の途中でオランダに立ち寄ることができた。それはそれで大変だったけど、僕的には満足。

ところで、機内で、下の子(9ヶ月)がどうしていたか、旅行後にいろんな人に訊かれた。いつもの夜と大して変わらなかった。つまり、簡単には寝ない。要だっこ。たまに、授乳ついでに眠ってくれたりもしたけど、基本的にはひたすらだっこ。機体後方のギャレー(配膳)エリアで、うろうろ、うろうろ。しかし、これに関しては、自宅にいても飛行機に乗っていても、眠い目をこすりながらだっこし続けなければいけないことに変わりないわけで、特別苦痛だったとは思わない。

泣き声が他の乗客の迷惑になったのではないか、という問いに関しては、「赤ん坊の声にだけ反応するやたら神経質な子ども嫌いの人の気には障ったかもしれない」という程度だったと思う。主観だけど。特に嫌な視線はなかった。

というのも、飛行機の中はそもそもとてもうるさいし、ギャレーエリア(シートを窮屈に感じている人たちが集まって談笑したりストレッチしたりしている)の賑やかさがほんの少し増したところで、大差ないのだと思う。客席の客の耳は前方をむ他の赤ん坊の声に関しても、ギャレーエリアの外までは届いてきていないように感じた。周波数の高い音(=赤ん坊の声)は、遮蔽物がないと遠くまで届くが、遮蔽物の影響を受けやすい。むしろ、大人の声の方が、客席まで届いていたかもしれない。

むろん、赤ん坊が泣き出したのに(あるいは、泣き出しそうなのに)シートに座ったまま適当にごまかそうとするならば、そこには間違いなく非難の眼差しが集中するだろう。また、ビジネスクラスは避けた方がよかろうと思う。理由は敢えて書かないけど。

電車


日本での新幹線に相当するのがトレニタリアのEurostar Italia。路線や型式に応じて「Frecciabianca(白い矢、最高時速200km)」「Frecciargento(銀の矢、最高時速250km)」「Frecciarossa(赤い矢、最高時速360km)」というニックネームがついているけど、これは日本でいえば「あさま」「のぞみ」「はやぶさ」などに相当するのだろう。時刻表を見たりチケットを取ったりする際にちょっと分かりにくいポイントだと思う。駅のチケット売り場に「Frecciargento」と書かれた派手なブースがあったりして、そこでチケットを買えるのかと思いきやただのインフォメーションだったり…。


なお、今回のイタリア旅行においては、イタリア名物と言われる(?)「ショーペロ」つまりストライキに出くわした。駅員は「いや、大丈夫、電車は来ますよ」とか言うんだけど、電車の本数がすごく少なくなっていて使い物にならない。駅の電光掲示板を見ると多くの電車が「遅延」とか表示されているんだけど、よく見ると遅延が1時間以上だったり、遅延している電車の数が増えてくると、いつの間にか前の遅延電車は無かったことになってて、ようやくやってきた電車に数時間分の客が一気に乗り込む、みたいな感じ。
ただし、ユーロスター(前述)は、ショーペロの影響を受けていないようだった。別枠なんですな。


あと、ユーロスターというかFrecciargentoの、駅のホームでの停車位置がどこなのかさっぱりわからなかったりするのだけれど、間違った車両に乗り込んでしまうと大変なことになる。というか、その大変な目に遭った。
駅のホームに立っている地元のサラリーマン風のおじさんに、xx号車はどのあたりに停まるか知ってますか、と訊くと自信たっぷりに間違った場所を教えられた。それで、乗り込んだ後で移動しようとしたんだけど、通路があまりにも狭く、また、乗客がみな通路に荷物を置いているので、ベビーカーやら荷物やらを持って車両を移るのは、不可能。
結局、車掌(大勢いる)が、別の車両の席を用意してくれて、なんとか座ることができたものの、あれは僕らにとっても他の客にとっても悲劇だった。

教訓:電車の乗車位置は駅員に確認すべし。

ついでながら、ユーロスターのチケットは、ネットで事前に購入すると安いようだけど、ネットだと購入できるチケットの種類が限られていて、「ファミリー・チケット」なんかは買えなかった(少なくとも僕は見つけられなかった)。駅でファミリー・チケットを買うとぐっと安い。いくらだったか忘れたけど。


あ、そうそう、電車に乗る直前に自主的にチケットに時刻を打刻する必要がある。これをやっておかないと、高額な罰金を請求されることがあるらしい。


地下鉄


今回の旅行ではローマで地下鉄に何度か乗った。以前、スリに狙われた(未然に防いだ)経験があるので、大きな荷物を持っての移動には地下鉄を使わずにすむように、ホテルの場所には配慮した。地下鉄に乗る時には、必ず軽装で。

というわけで、今回は、危ない目に遭うことは全くなかった。


地下鉄もチケットへの時刻の打刻が必要だったかな。自動改札を通れば自動的に打刻されたような気がするけど。

バス


ローマ市内を娘と二人でサクッと移動したりする際に何度かバスに乗った。予め路線を調べて乗ったりもしたし、歩き疲れて適当に乗ったりもした。

バスのチケットは、チケット売り場の他にタバッキ(Tabacchi。タバコ屋というか、よろず屋)で買えるけど、このタバッキがバル(Bar。カフェみたいなもの)の奥の方に潜んでいたりすることもある。バス停の近くにチケット売り場もタバッキも見当たらない場合でも、きっとその辺にあるはずなので、通行人に訪ねればきっと親切に教えてくれる。
"Dove posso compare il biglietto (dell'autobus)?"
「どこで(バスの)チケットが買えますか?」
複数のバス路線が同じ停留所を使っていたりするけど、バス停に掲示されている表を見れば、何番のバスが自分の行きたい場所に行ってくれるか、途中でどれだけ回り道をするか、がわかる。中央駅(テルミニ駅)に連れて行ってくれるバスなんかは簡単にたくさん見つけることができる。

バスも乗車時に(乗り継ぎの場合は2本目以降はいらないはず)チケットに時刻を打刻する必要がある。混んでいるバスでは難しいけど、これは必須。打刻機は黄色くて目立つから間違えようがないとは思うけど、運転手席のやや後方のあたりに設置されていたかな。

水上バス


ヴェネツィアの中の移動は、選択の余地なく、水上バス(ヴァポレットという船)か徒歩。水上タクシー(モーターボート)やゴンドラは料金が高すぎて、一般人は「足」としては使えない。あ、あと、トラゲットというゴンドラ風のデザインの手漕ぎの船(ゴンドラよりもっと大きい)があって、これは、橋がない場所で運河を横切るために使われている渡し船。ゴンドラと違って安い。今回は使わなかったけど、面白いので、見かけたら乗ってみることをお薦めしたい。

で、水上バス。水上バスは、停留所というか船乗り場が大運河のあちこちにあるし、いろんな路線もあるので、結構頻繁に使うことになるかと。特に、同行の家族が歩き疲れたりしてきた場合なんかに。

タクシー


タクシーに不当に回り道されている、などと疑心暗鬼になりたくない人は、地図で一方通行を踏まえた予想経路を把握しておくと精神衛生上よろしいかと。

今回は、覚えている範囲で5回タクシーを利用した。運転手によっては、かなりご機嫌な(怖い、と感じる人もいるかもしれない)運転を披露してくれる。とても上手なんだけど、東京でそれをやったら白バイが黙っちゃいない、というような。

クルマ(レンタカー)


前のエントリにも書いたように、今回はアルファの新型ジュリエッタを借りた。代替品が充てがわれたらどうやって突き返すかを脳内シミュレーションして望んだのだが、幸いその必要はなかった。しかも、下ろしたての新車を借りることができた。「ラッキー!」…という言葉はこういう時にこそ使いたい。


借りることができたのは、2リッターディーゼルターボエンジンのモデル(2.0 JTD)。残念ながらガソリン車はヨーロッパカーの車種選択肢になかったので、これで我慢。というか、ディーゼルターボのアルファがどんなものか知ることができるし、それはそれで興味深いかな、と考えることにする。

借りた車両について適当にググって見つけたスペックは以下の通り:
Alfa Romeo Giulietta 2.0 JTD
Engine: 2.0-litre, 4cyl turbodiesel
Transmission: Front-wheel drive, six-spd manual gearbox
Power/Torque: 170bhp/350Nm
0-62mph: 8.0 seconds
Top speed: 135mph
Econ./CO2: 60.1mpg/124g/km
Standard equipment: 16-inch alloys, dual-zone climate control, leather multifunction steering wheel, cruise control, Start&Stop
135mphはだいたい220kmかな。

アイドリングストップを、MT車では初めて体験したんだけれど、停止時にギアをニュートラルに入れてクラッチから足を離す(クラッチをつないだ状態)とエンジンが切れ、次に1速に入れるためにクラッチを踏むとエンジンがかかる。なるほど、そういうタイミングは確かにリーズナブル。

で、ディーゼル・ターボな2リッターエンジンはどうだったかというかと、低速トルクがあることもあって、低速域を多用することになり、その結果、「もっさり」した印象が生じてしまうんだけど、実は、ぐっとアクセルを踏み込んでいくと加速度が加速していく感じ、っていうのかな、スポーツカーのエンジンらしい「もっともっと踏んでください!」とエンジンが言っているかのような気持ちのよい回り方をする。つまり、エンジン回転数が中速域から上に行くにしたがって「もっさり」感が消えていく、という。ディーゼル、しかも、ターボ、なんて、食わず嫌い的に全く興味を持っていなかったけど、最終的にそれほど悪くはない印象。ま、アルファロメオの味付けがあってこそなのかもしれないけど。

これが、アルファのガソリン2.0リッター自然吸気ツインスパークエンジンだったら(あるいは3.2のV6だったら)、どれだけ素敵なことになっているんだろう、と、夢見てしまう。ま、今や(147を最後として)アルファのクルマのエンジンはアルファ純正じゃないし、ツインスパークはないんだけど。

ハンドリングは、素晴らしい。気持ちのままにクルマの向きを変えられる、にも関わらずアウトストラーダ(高速道路)で130km/h(=法定最高速度)、あるいはそれ以上で走っていても、全く不安はない落ち着き。タイヤからの入力をちゃんと手のひらに伝えてくれるし。

ハンドリングの気持ちよさに関しては、いくらでも上があることを承知の上だし、FFであることを加味して甘めな評価かもしれないけど、それでも十分以上に素晴らしい。我が家の147よりいい感じだったのは、気のせいではないはずだ。ま、年式の違いもあるからそれは当然なんだけど。

妻は、かわいそうなことに、激しく車酔いしやすい体質なので、ウンブリア/トスカーナのうっとりするような素晴らしいワインディングを喜んではいなかったようだけれど、彼女が寝ている間には、僕は存分に楽しませてもらった。

妻と下の子が宿で留守番(?)している間に、上の子と一緒にドライブに出かけたりもした。水を得た魚のような父親の様子に娘も興味を掻き立てられたらしく、3つのペダルの名前やどういう具合にペダル/シフト/ハンドルを操作するのか、ということを質問したり、「アクセル踏んでるときは『アクセル~』、ブレーキ踏んでるときは『ブレーキ~』って言いながら運転して」などと言い、学習意欲を見せつけていた。


ちなみに、これは、アクセル/ブレーキ/クラッチの各ペダルの説明を受けた娘が「忘れないように描いとくんだ」といって助手席で描いていたスケッチ。いつの日か(オートマではない本物の)クルマを運転する日を楽しみにしているようだ。


この15年間ぐらいの間に、原子力発電所を推進するために(なんでも電化して電力需要を増大させるために)地球温暖化のCO2原因説が(特に日本で)無批判に吹聴され、その流れの中で「ガソリン自動車=悪」という認識がどんどん高まっている。と思う。ガソリンの無駄遣いはやめよう、ということ自体はいろんな意味で正しいけれど、地球の温暖化の原因としてガソリン自動車を持ってくるのは短絡的な詭弁なわけで、無計画な森林伐採を止める努力をしないくせにハイブリッド自動車や電気自動車を売りたいがために「ガソリン自動車=悪」のような詭弁を繰り広げる産業界には、本当にがっかり。そんなにガソリン消費を抑えたいなら、クルマ消費自体を減らせよ、オートマの新車販売を法律で禁止すれば素敵な世界が待っているよ、などと妄言を吐きたくもなる。

娘が大人になった頃に、3ペダル/ガソリン/自然吸気な自動車が、まだ存在しているのだろうか。ヴィンテージ・カーとしてしか手に入らなくなってたりするのだろうか。日本のメーカーはあと5年もすれば3ペダルのMT自動車は作らなくなってそうな気がするな。マツダあたりには期待したいところだけど。

話が脇に逸れてしまった。
さて、今回の反省点。前のエントリでも書いたけれど、Android携帯に地図とカーナビの代わりをさせようとしたのだけれど、これが大失敗。問題を列挙すると以下のとおり。
  1. 携帯端末が突然操作不能になる
  2. 意外と携帯の電波が届くエリアが狭い
  3. 地図上の進行方向(コンパス)が当てにならない
しかし、なんといっても1番目の問題が突出している。他は、まあ工夫次第でなんとでもなるんだけど、携帯端末自体が操作不能になると、道順が分からないだけでなく、地図も見れない、行き先の住所も電話番号も(携帯内のメモ帳に保存していたので)分からない、という、非常に困った状況になってしまう。

操作不能の原因は、ソニーエリクソン Xperia Mini ST15という機種特有の問題で(ソニエリは認めようとしていないらしい)、Android携帯一般の問題ではないらしい。帰国後、root化(iPhoneで言うところの脱獄、みたいなもの)を施し、さまざまな手を尽くすことによって無事不具合は解消できた。

この問題について、ググるといろいろ出てくる。

というわけで、携帯がナビとして全く役に立たないことが判明したのでアウトストラーダのサービスエリアで地図を買い求めたんだけれど、折りたたみ式の1:300,000の地図しか売ってなくて、それでもないよりだいぶマシなんだけど、今にして思えば、よくまああれで宿泊先にたどり着くことができたな、と思う。特に迷ったのがナルニ(古い名前でナルニア)の中心エリアからその隣村(というか同じナルニ内の非中心的な集落)の宿泊先までの道のり。


ちなみに、その30万分の1の地図がこんな感じで、目的地がどこだかそもそもよくわからない(実際は、画像の右中央あたりの川の名前L'Aia(水色の文字)の「A」と「i」の間のあたりだった)。ナルニの中心エリアで道行く人に「ここどこ?」って地図を見せても「うーん、どこだろう」みたいな反応だったりして。こんな地図を片手に、集落の名前と通りの名前だけを頼りにたどり着こうというのだから、無謀としか言いようがない。

実際のナルニの街はどんなだったかというと、こんな感じ。
地図の上方中央やや左のあたりからSP1を道なりに東を目指して進むうちにいつの間にか(ぐるっと時計回りに回ってしまい)左の集落に紛れ込み、太い道を道なりに進んだら知らずにどんどん南下してしまったという(地図中央やや左の下部、SR3/SS3)。実際は、途中で交差点を折れて東に(地図右上端に見えているSR3/SS3)進まなければいけなかったのに。というか、走るべき道は正しかったんだけど進行方向がちょうど逆だった。

そんなしょうもないミスを…、と思われるかもしれないけれど、実際の道には色がついていないし、道路の幅も地図と実際では違うし、太陽は雲に隠れているし(つまり自分の向いている方角が分からない)。

てなわけで、大いに苦戦した。あっちこっちでいろんな人に道を聞いた。1日で3年分ぐらいは道に迷った。宿泊先のwebサイトにあったアクセス案内を印刷しておけばこんなことにはならなかったんだけど。

今回の旅ではこの他にも何度か派手に道に迷った。けど、道に迷うのって、実は楽しい。迷っている最中はそれなりに焦ったりもするし、同乗者には申し訳なかったけど。

つづく

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