2012年7月24日火曜日

イタリア旅行報告(5)

5.食事


食事。いろいろ書くべきことがあるような、そうでもないような。

離乳食


今回の旅行では、下の子が9ヶ月だった。粉ミルクは飲まない子だったので、母乳に加えて一日3回ぐらいの離乳食がこの時期の彼の食事。

我々はレトルトパックと瓶入りの離乳食を大量に日本から持っていった。しかし、似たような形態の離乳食はイタリアでもスーパーマーケット(スペール・メルカート)でも売ってた。当たり前か。

でも、スーパーを探すのが大変かもしれないので、レンタカーでの旅行の場合は、最初に比較的大きな街に到着する(&スーパーを探す時間がある)までの期間のレトルト(or瓶入り)離乳食は日本から持参した方がよいかも。

電子レンジは、アメリカや日本と違ってどこにでも当たり前にあるわけではない、と思うけど、ホテルによっては共用スペースに電子レンジが置いてあったりするし、宿の人に「温めて」ってお願いすれば鍋&お湯で温めてくれるので心配無用。

それよりも、パスタカッターを持参して大人の食べるパスタを切って与えるのがいいかも。概して濃い味付けなのが気になるところではあるけど。

レストラン


よく知られているように、イタリアのレストラン(お食事処)は、いろんな種類にカテゴライズされている。リストランテ(エレガントなレストラン)、エノテカ(食事もできるワイン試飲販売店)、タヴェルナ(ちゃんとした食事ができる居酒屋)、トラットリア(シンプルなレストラン)、オステリア(カジュアルなタヴェルナ)、ピッツェリア(ピザ屋)などなど。しかし、安い店がリストランテを名乗っていたり、オステリアが高級店だったり、例外が多く、店名からその雰囲気や値段を知ることは不可能。しかし、実際に店に行ってみれば、入口脇には値段付きのメニューが置いてあるし、雰囲気もだいたいわかる。

子連れでも気まずい思いをしなくて済むようなレストランはどこか。それは、その街の人に聞いてみるのが一番だ。これが唯一間違いない方法だと僕は思う。ちなみに、その街の人と一緒にお店に入ることができれば、より居心地がよくなる。

よさそうだと思っていたレストランに行ってみたら満席だった、という時には、そのレストランの店員にどこか別のお店を紹介してもらうというのも悪くない。彼らもひどいお店を紹介するわけにはいかないはずだ。ま、本当は予約して出かけるのがいいんだろうけど、いろいろな状況があるので。

夕食の時間は、イタリアでは日本に比べてだいぶ遅いので、夕方5時なんかだとレストランが開いていなかったりする。



あ、あと、メニュー。バルとピザ屋以外では、基本的には、アンティパスト(前菜)、プリモ・ピアット(第一の皿/パスタやリゾットやスープ)、セコンド・ピアット(第二の皿/肉か魚)の3点を各人が注文することが想定されている。ので、アンティパストを1皿と、プリモを2皿、あとはワインとデザートだけ、とかいうのは(僕の認識では)当然ありなんだけど、「アンティパストをシェアしたい」「セコンドはいらない」などと言い添えるべきだろう。レストランによっては、客が自分自身で取り分けるのを(美的観点から)好まず、厨房から出てくる時点で1人前のボリュームの料理を2皿に半分ずつきれいに盛りつけて提供してくれたりする。店としては(店によっては)、一人で食べるのかシェアするのかをはっきりさせてほしかったりするようだ。

ワイン


イタリアにおいてはレストランで出てくるテーブルワイン(ハウスワイン)が十分おいしい。異論反論あるかもしれないけれど、その場合、考えてもみて欲しい。テーブルワインがおいしくない店にイタリア人が食べにくるだろうか?そう、安くても、そのお店の料理の味付けに合うものが厳選されている(もしくはワインに合わせた味付けがなされる)と考えるのが合理的だろう。



というわけで、安くてもワインがおいしいので、飲み過ぎと飲酒運転には十分注意。イタリアの交通関係の法律では血中アルコール濃度が0.05%を超えると飲酒運転とみなされる。これは呼気中の0.25mg/litterに相当するとのこと。ちなみにこれは日本の10年前の道交法と同じ基準値。このサイトによると、アルコール度数12%のワイン350mlを体重63kgの人が飲むと、1時間経過するまで合法レベル(0.25mg/litter)まで下がらない。当然ながら、他の車両の運転手が飲酒している可能性が高いので、これにも注意。

つづく

イタリア旅行報告(4)

4.宿泊


今回の旅では宿泊先に関してちょっとした工夫をしてみたり、あるいは考えが足りなくてつらい思いをしたり、まあ、いろいろあったので、そこらへんをひとつ。

ヴェネツィア編


ヴェネツィアに行ったことがある人には説明するまでもないことなんだけど、いわゆるヴェネツィアの島の中は自動車が走っていない。つまり、荷物を満載したタクシーでホテルに乗り付ける、ということが不可能。水上タクシーがあるにはあるけれど、現実的な値段ではない。荷物を運んでくれる人がいるらしい(もちろん有料で)けれど、どういった時間帯に運搬サービスが利用可能なのか不明。さらに、大小さまざまな橋があるおかげで、スーツケースやベビーカーを押して歩くのは無理、とまでは言わないにしても困難を極める。


というわけで、ヴェネツィアは手ぶら、あるいは手ぶらに順ずる身軽さで訪れるに限る。赤ちゃんはベビーカーではなくて抱っこ紐(ベイビー・ビョルンだとかエルゴ・ベイビーみたいなやつ)で。

ヴェネツィアのひとつ隣の駅がメストレ(Venezia Mestre)。この街は、ヴェネツィアで働く普通の人やヴェネツィア大学に通う学生なんかが住んでいたりする街。ちなみに、ヴェネツィア島に住んでいるのはものすごい大金持ちオンリー、らしい。

このメストレにもホテルがいくつかあるし、一般論で言えば、ヴェネツィアよりずっと安く泊まれる。メストレのホテルだったら空港からタクシーで乗り付けられるし、駅からだって平坦な道を歩いてアプローチできる(ところが多いだろう)。しかも、ヴェネツィア(の島の入口)までは電車で一駅。バスも出てる。
そう、メストレに宿泊すれば、手ぶらに近い状態でヴェネツィアに入ることができるのだ。

というわけで、今回は、メストレのホテルを利用。ちなみに、前回(7年前の新婚旅行)はヴェネツィア島内の駅にわりと近いあたりのホテル。前々回(16年前の卒業旅行)は、当時メストレに住んでいた友人宅に泊めてもらった。

参考までに、宿泊したホテルはHotel Piave

ローマ編


値段相応なんだけど、一晩目のダブルルームの部屋とベッドが狭くて参った。ローマのテルミニ駅から徒歩1分だったら、広々ってわけにはいかない、って、気付いとくべきだった。出発直前にいろいろ予定を変更する中でよく確認もせずに予約したのが祟った感じ。

ホテルのダブルルームって、クイーンかキングかあるいはそれ以上のベッドが置かれていることが多いと思うんだけど、今回宿泊したダブルルームでは文字通りのダブルベッド(幅120cmくらい)が置かれていた。しかも、エクストラベッドをお願いしておいたつもりだったのにそれもなく…。確認を怠ったこっちのミスなんだけど。


というわけで、最初の晩、上の子にはソファで寝てもらった(リネンは用意してくれた)。次の日はトリプルルームが空いたので移らせてもらったんだけど、トリプルルームのベッドはそれぞれが普通に広かった。部屋自体も十分な広さだった。

ホテル自体は質素ながら清潔で素敵なところだった。スタッフも感じが良かったし便利な立地だったので、最初からトリプルルームを抑えられていれば、と悔やまれる。

参考までに、宿泊したホテルはHotel Fawlty Towers

ナルニ編


今回泊まったのはTorre Palombara - dimora storica。あえて日本語に直訳すると「歴史的旧家・鳩の塔」。中世の見張りの塔を起源とし、増築を重ねて現在の建物になったのだそうで。

ここは、もう、素敵すぎる。もう一度ウンブリアに行くことがあれば絶対またここに泊まる。妻が言うには「ヴェネツィアやらローマやらに寄らずに最初にここに来たかった」。

建物、部屋、景色、どれをとっても素晴らしいんだけど、何と言っても主人(ていうか若旦那?)が、いい人。しかも、イケメン。しかも、ヒストリック・カー・マニア(あ、これは普通の人にはどうでもいいことか)。英語でも何ら問題なく意思疎通できる。

というわけで、このあたりを旅するという友人がいれば迷うことなくここをお勧めしたい。


ところで、前のエントリに書いたように、僕は道順をちゃんと控えておかなかったせいでローマからここまで辿り着くのにひどく苦労したけど、案内通りの道順に従ってアプローチすれば苦労せずにたどり着けるはず。いったんナルニの歴史的中心街に迷い込んでしまうと厄介だ。ちなみに、クルマがないと到達不可能な立地。

ここを拠点にして、ウンブリアのあちこちに簡単に出かけることができる。ペルージャやアッシジまで1時間かからないんじゃないかな。両方とも近くを通り過ぎただけだけど。ヴェルネリア渓谷経由でノルチャまで1時間半くらい。

オルチャ渓谷編


オルチャ渓谷(Val d'Orcia)、という名前から受ける(であろう)印象とは異なって、ここは、谷間というよりもむしろ丘陵地帯。オルチャ川流域の穏やかな丘が、そしてクルマ乗りには堪らないナイスすぎるワインディングがどこまでも続いているエリアだ。

我々が宿泊したのは、この中のCastiglione d'Orcia(カスティッリョーネ・ドルチャ)という古くからの城塞都市(というか村?)の外れにあるアグリトゥーリズモ。

アグリツーリズモというのは、まあ、ご存知の方はご存知でしょうが、(主に)農家の空き部屋を改装して旅人に宿を提供する、という、日本における民宿に近いもの。宿泊費は、一泊(家族全員朝食付きで)8000円しないようなところから、その数十倍のところまで多種多様。大地主のお屋敷(=城)を改装したようなところはびっくりするほど高級だったりするので、そういう意味では「民宿」とは必ずしも一致しないんだけど。


今回泊まったのは、ロンプラ(英語版)で"best-valueなアグリトゥーリズモ"と評価されていたLe Case。快適な宿だったし、娘は周辺環境(草原やら池やら)を楽しんでいたし、宿を運営している若い二人もナイスだった。さらには、オルチャ渓谷というかトスカーナ中部の各都市を訪問するのにはとても便利な立地だった。モンタルチーノまで30分ぐらい、シエナまで1時間ぐらい。もちろんクルマで。

僕が予約した時にはBooking.comとかでは予約できなかったので、直接メールでやり取りした。僕自身はイタリア語でメールを交換したけど、英語でも全く問題ない。

ルッカ編


ルッカは、街全体をぐるりと取り巻く分厚い城壁で有名な古い城塞都市で、プッチーニの故郷として知られている。ピサまでクルマで30分ぐらい、だったかな。リヴォルノやチンクェ・テッレまでも簡単に行ける(←クルマ前提での発言)。ヴィンチ村だとかフィレンツェも問題ない距離。ただし、オルチャ渓谷のような田舎道と違って、こういう「近代的に機能している」ルッカのような都市の周辺では下道が渋滞してたりするので、多少回り道でも高速道路を使うほうがいいかな。

ホテルの管理人のおじさんがアルファ乗りで、だからかどうかは知らないけど、いろいろと親切にしてくれた。2階のダブルルームにエクストラベッドを入れる、という選択肢の他に、5階のアパートメント(1LD+K、ベランダ付き)も同値で提示してくれた(我々は当然後者を選んだ)。駐車場は城壁内(ホテルも城壁内)は基本的に有料なんだけど、無料で停められる駐車スペースがあるから、と言って(鍵を渡したら)クルマをそこに停めてきてくれたり。


ルッカは、旅の拠点として都合が良いし、街自体も魅力的で、しかも便利。なので、この街で宿泊するというのは我ながら悪くない選択だったと思う。我々が泊まった宿に限らず、街としてお薦め。

参考までに、宿泊したホテルはRest In Lucca

フィレンツェ編


当初、ルッカから空港に乗り付けようかとも思ったんだけど、結局、空港のすぐ近くに宿をとった。なんせフライトが早かったもんで。ここについては特に共有すべき参考情報なし。

つづく